たとえば、正規の従業員の他に補助的な従業員として、パートタイマーを雇うとします。補助的業務が中心で時間契約なので、基本給(時給)のみで、職務手当は支給しないつもりです。そこで個別労働契約書に「基本給のみ支給し、職務手当は支給しない」と決めたとします。ところが、事務所の就業規則には「従業員には、毎月基本給のほか、職務手当を支給する」とだけあります。この場合は、個別労働契約書の「職務手当は支給しない」とう部分は、就業規則にある労働条件を下回るため、無効となるのです。そして無効となった部分は、就業規則に従うため、パートタイマーにも職務手当の支給が必要になってきます。
これとは逆に、労働契約書の内容が就業規則を上回る場合は、労働契約書が優先されます。たとえば、就業規則では、従業員の始業・終業時刻が「午前9時・午後6時」となっていても、パートタイマーについては、個人の希望に応じて「午前10時・午後5時」と個別に定めることは問題ありません(昭61.3.14基発150号)。

 それでは、最初に出した例で、パートタイマーに職務手当を支払わないと決めるためには、どうすればいいのでしょうか。その答えは、就業規則に明記することです。1つめの方法は、パートタイマー用の就業規則を作成して、そこに職務手当が支給されないことを明記する方法です。もう1つの方法は、あくまでも就業規則は一本として、規定ごとに例外を規定することです。ただし、この場合、「職務手当を支給する。ただし、パートタイマーについては支給しない。」と明確に定めるべきです。「職務手当を支給する。ただし、パートタイマーについては別に定める。」などと規定した場合は、「別の定め」(すなわちパートタイマー用の就業規則)が必要になってくるからです。
なお、パートタイマーといえども、「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(パートタイム労働法)によって、(1)職務の内容(業務の内容とそれに伴う責任の程度)が正規の従業員と同一、(2)実質上の無期雇用、(3)昇進、昇格、配置転換等が正規の従業員と同一、のすべてを満たす場合には、賃金処遇について差を付けることは許されません。また、それ以外のパートタイマーについても、それなりに正規の従業員に近づける努力義務があります。つまり、正規の従業員とパートタイマーとの処遇に差を設ける場合には、仕事の内容や勤務時間の差など、本人に説明して納得してもらえる合理的な説明と理由付けが必要となってきます。