


第4回:行動科学的ハイブリッドモデルの提案~禁止と推奨の「二刀流」~ <連載> 服務規定作成のための実践ガイド(全7回)

第3回:禁止規定(ネガティブリスト)の必要性と限界 <連載> 服務規定作成のための実践ガイド(全7回)

こんにちは、分かりやすさNo.1社労士の先生の先生、岩崎です!
前回は、ハイブリッドモデルの具体的な書き換え事例をご紹介しました。
今回は、このモデルを実際に導入・運用するための具体的な手順「3ステップ・メソッド」をお伝えします。
まずは、現行の就業規則(特に服務規律)の全条項に対して、以下のテストを行います。診断項目は「この条文に書かれていることは、死体でも達成可能か?」です。
判定「YES」(死人でもできる)の例は、「遅刻しない」「文句を言わない」「休まない」などです。これらは「要改善(非行動)」と判定します。多くの日本企業の規則では、約8割がこれに該当すると言われています。
判定「NO」(死人にはできない)の例は、「報告書を書く」「挨拶する」などです。これらは「良好(行動)」と判定します。
この診断により、現在の規則がいかに「非行動」の要求に偏っているかを可視化できます。まずは現状を客観的に把握することが、改善の第一歩です。
ステップ1で「要改善」とされた禁止項目に対し、「Fair Pair(公正なペア)」の原則を用いて、代わりに行うべき推奨行動を定義します。
翻訳のプロセスは次のとおりです。まず元の禁止規定を確認します(例:「顧客に対して失礼な態度をとらないこと」)。
次に問いかけます。「失礼な態度をとらない代わりに、何をすれば『素晴らしい』と言えるか?」
そして行動への翻訳を行います。例えば「顧客と目が合ったら会釈をし、最初の第一声は『いらっしゃいませ』と発声する」というように、禁止事項の裏側にある「本当にやってほしいこと」を言語化していきます。
作成した行動基準を、就業規則の構造の中に落とし込み、従業員に伝わる形に整えます。
構造化については、規則を「絶対的禁止事項(レッドライン)」と「プロフェッショナル行動基準(グリーンライン)」の2部構成、あるいは章立てで明確に区分します。
混ぜて記述すると、どっちつかずの印象を与えてしまうので注意が必要です。
周知については、単に配布するのではなく、後述する運用戦略(説明会やハンドブック化)を通じて、「なぜこの行動が必要なのか」を共有することが重要です。
このように、「診断→翻訳→構造化」という3ステップで規則を再構築していきます。
いきなり全面改訂を目指すのではなく、まずは診断から始めて、少しずつ改善していくアプローチがおすすめです。
次回はいよいよ最終回。
作成した規則を「読まれる・生きた」ものにするための運用戦略について解説します。
説明会の開催方法、評価制度との連動、クレドカードへの展開など、実践的な手法をお伝えします!