


第5回:ハイブリッドモデルの具体例 ~Before/Afterで見る規定の書き換え~ <連載> 服務規定作成のための実践ガイド(全7回)

第4回:行動科学的ハイブリッドモデルの提案~禁止と推奨の「二刀流」~ <連載> 服務規定作成のための実践ガイド(全7回)

こんにちは、分かりやすさNo.1社労士の先生の先生、岩崎です!
いよいよ最終回となりました。前回までで、ハイブリッドモデルの考え方と3ステップ・メソッドによる規則の再構築方法をお伝えしました。今回は、作成した規則を「読まれる・生きた」ものにするための運用戦略についてお話しします。
多くの企業は規則をPDFで配布して終わりですが、それでは誰も読みません。
就業規則の改定時や新入社員研修時に、「従業員説明会」または「ワークショップ」を開催することをお勧めします。
説明会では、条文を読み上げるのではなく、「なぜ(Why)」を語ることが大切です。「なぜこのネガティブリスト(禁止)が必要なのか(会社を守るため)」「なぜこの推奨行動が必要なのか(皆の成長と働きやすさのため)」という背景を説明します。
また、対話型のセッションを取り入れることも効果的です。
「うちの部署で『推奨行動』を実践するにはどうすればいいか?」を現場単位で話し合わせます。一方的な通達ではなく、参加型のプロセスを経ることで、自分事化(Psychological Ownership)が進みます。
推奨行動(グリーンライン)の実践度合いを、人事評価(定性評価・情意評価)に組み込むことが重要です。
「遅刻しなかったから満点」ではなく、「推奨行動(5分前行動や積極的な挨拶)ができていたから高評価」とすることで、ポジティブな行動が強化(Reinforcement)されます。行動を評価に結びつけることで、従業員は「やる意味」を実感できるようになります。
堅苦しい法的な就業規則本体とは別に、推奨行動部分を抜粋して分かりやすい言葉に翻訳した「クレドカード」や「行動指針ハンドブック」を作成し、携帯させる手法も有効です。
これらを朝礼などで唱和したり、迷った時の判断基準として参照させることで、規則が日常業務の中に溶け込みます。就業規則を「棚の奥の書類」から「いつも手元にある指針」に変えることができます。
全7回にわたってお届けしてきた本連載の結論をまとめます。
第一に、ネガティブリストの堅持です。企業のリスク管理と秩序維持のために、法的な防衛ラインとしての禁止規定は維持しなければなりません。
第二に、死人テスト合格行動の付加です。しかし、禁止規定だけでは「指示待ち・事なかれ主義」の組織しか生まれません。従業員の活力を引き出すには、死人テストをパスする「具体的な推奨行動」を明記する必要があります。
第三に、ハイブリッドモデルの実装と運用です。「診断・翻訳・構造化」の3ステップで規則を再構築し、説明会や評価制度を通じて「推奨行動」にスポットライトを当て続けることで、就業規則は初めて「従業員の行動を促進する生きたツール」となります。
「○○してはならない」という管理のマネジメントから、「○○しよう」という自律のマネジメントへ。就業規則のハイブリッド化は、その転換点となります。
皆さんの会社の就業規則も、ぜひこの機会に見直してみてください。「死人テスト」で診断するだけでも、多くの気づきが得られるはずです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。皆さんの職場が、従業員一人ひとりが活き活きと働ける場所になることを願っています!