


第3回:禁止規定(ネガティブリスト)の必要性と限界 <連載> 服務規定作成のための実践ガイド(全7回)

第2回:「死人テスト」で分かる!従来型就業規則の問題点 <連載> 服務規定作成のための実践ガイド(全7回)

こんにちは、分かりやすさNo.1社労士の先生の先生、岩崎です!
前回は、禁止事項(レッドライン)と推奨行動(グリーンライン)の二層構造による「ハイブリッドモデル」の考え方をご紹介しました。
今回は、具体的な書き換え事例を見ていきましょう。
【従来型(Before)】「職場の秩序を乱さないこと」「他人に不快感を与えないこと」
この従来型の問題点は、「不快感」という主観的で曖昧な表現を使っていることです。
何も話さなければ「不快感を与えない」は達成可能ですが、それでは良い職場にはなりません。
【ハイブリッド型(After)】禁止事項として「暴言、威嚇、ハラスメント行為」を定め、推奨行動として「出社時・退社時には、相手に聞こえる声の大きさで挨拶を行う。来客とすれ違う際は会釈をする」と定めます。
このように書き換えることで、「不快感」という曖昧さを排除し、「挨拶」「会釈」という観測可能な行動を定義できます。これなら評価や指導も可能になります。
【従来型(Before)】「遅刻をしないこと」
これは典型的な「死人テスト不合格」の規定です。死人でも遅刻はしません。この規定では、「ギリギリに滑り込めばセーフ」という行動を引き出すだけです。
【ハイブリッド型(After)】禁止事項として「無断欠勤、常習的な遅刻」を定め、推奨行動として「会議開始の5分前には集合し、定刻には議論を開始できる状態にする」と定めます。
「遅刻しない(ゼロ)」ではなく「5分前行動(プラス)」を目指すことで、組織全体のタイムマネジメントが向上します。
【従来型(Before)】「独断専行しないこと」
「何もしなければ独断専行にはならない」という解釈も可能です。これでは、問題が起きたときに報告が遅れ、かえって事態が悪化するリスクがあります。
【ハイブリッド型(After)】禁止事項として「重大なトラブルの隠蔽」を定め、推奨行動として「ミスやトラブルが発生した際は、自己判断で処理せず、発生から30分以内に直属の上司へ第一報を入れる(Bad News First)」と定めます。
隠蔽を防ぐためには「隠さないこと」と書くより、「第一報を入れる」という具体的アクションを求めた方が動きやすくなります。
これらの事例に共通するポイントは、「死人にはできない具体的行動」を明示していることです。
「挨拶をする」「5分前に集合する」「30分以内に報告する」など、誰が見ても「やったかどうか」がわかる行動を規定に盛り込むことが重要です。
次回は、このハイブリッドモデルを実際に導入・運用するための具体的な手順「3ステップ・メソッド」をご紹介します。診断から翻訳、そして構造化まで、順を追って解説していきます!