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【第2回】変形労働時間制における勤務変更の制限とは?<連載>変形労働時間制の有効性をめぐる重要ポイント

今回は変形労働時間制における勤務変更の制限についてお話をします。

変形労働時間制において、一度特定された労働日や労働時間は、使用者が業務の都合によって任意に変更することは原則として認められません。なぜなら、特定された労働時間こそが、変形労働時間制における「所定労働時間」となるからです。

この点について明確に示した重要な裁判例として、JR西日本(広島支社)事件(広島高判平成14年6月25日)があります。この事件では、就業規則に「業務上の必要がある場合は、指定した勤務を変更する」という包括的な変更条項があり、会社は乗務員の事故防止訓練や年次休暇による欠員補充などを理由に勤務を変更していました。

しかし裁判所は、このような抽象的な変更条項は使用者がほぼ任意に勤務を変更できる余地を残すものであり、労働者の予測可能性を著しく困難にするため、変形労働時間制の「特定」要件を満たさず無効であると判断しました。

企業側からすれば、予期せぬ欠員や業務の変動に対応するための柔軟性を確保したいところですが、変形労働時間制はあくまで「あらかじめ計画された」労働時間の配分を前提とする制度であり、事後的な変更の自由を認めるものではありません

変形労働時間制を導入する企業は、予見される変動要因をできる限り当初の計画に織り込むよう努力し、やむを得ない変更が必要になる場合でも、その事由と手続きを就業規則等で限定的かつ具体的に定めておく必要があります。

労働者の生活設計を尊重することが、この制度を適切に運用するための重要なポイントなのです。

 

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