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就業規則はいつ作成するのか

常時10人以上の従業員を使用する事務所は、就業規則の作成と労働基準監督署への届出義務があります。そこで、「まだ自分の事務所には従業員が5人しかいないから」といって就業規則を作成しようとしない企業もあります。

果たしてその判断は正しいのでしょうか。

たとえ5人でもそれぞれの従業員が好き勝手な方向を向いて仕事をしたのでは、企業運営は成り立ちません。従業員が複数になれば統一されたルールが必要となります。

少なくとも就業規則の中の「服務規律規定」は必要でしょう。また、好き勝手に出社されても困るので、始業・終業時刻は決めなければなりません。決めるべきことは意外と多いものです。これを労働契約書にまとめて1人1人と締結するのもそのうち大変になってきます。であれば、早い時期に就業規則の作成を検討すべきです。また、就業規則を作成するメリットは、労働契約法の次の規定からもわかります。

労働契約法第7条(労働契約の成立)
労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。

これは、労働契約の際に労働条件を詳しく決めずに従業員を雇った場合でも、「合理的な労働条件が定められている就業規則」があり、これを従業員に「周知」していた場合には、就業規則で定める労働条件が労働契約の内容となる、という規定です。もともと日本では、個別に締結される労働契約では労働条件を詳しく定めず、就業規則によって統一的に労働条件を設定することが多く、この状況を追認するために定められました。

つまり、この規定の適用があれば、極端な話、従業員1人1人と労働契約書を交わさなくてもよいということになります。ここで注意していただきたいのは、条文中、「就業規則を労働者に周知させていた場合」と過去形になっている点です。つまり、従業員を雇う前か、雇うと同時に就業規則を広く知らせていないと、この規定は適用されません。

「これから就業規則を作るので、作った折にはこれを労働契約書に代えます」といっても、第7条は適用されないのです。雇った後に就業規則が知らされた場合の効力については議論がありますが、法に規定がない以上、グレーゾーンとなります。理想は最初の1人目を雇う時から、最低限のものでいいので、就業規則を準備しておくことです。